「登記」「登記所(法務局)」「管轄」「不動産登記」「登記事項証明書」
「商業登記(会社の登記」
各登記手続きにつき、より具体的にお知りになりたい方は
・不動産登記については、こちら
・商業登記については、こちら
登記(とうき)という言葉は、お仕事やマイホームを買われた時などに聞いたことがあるかもしれません。
また、仕事や銀行の窓口などで「登記簿を持ってきてください」とか「登記所に行って書類を提出してきてください」などと言われて「登記」という言葉を耳にしたかもしれせん。
登記所も税務署などと同じように、国の役所なのですが一般の方にはなかなかなじみはないかと思います。
とは言っても、上記のように「登記」は日常生活の中に溶け込み、ヒョンなことから皆さんの目の前に姿をあらわす場合があります。
このページをご覧になられている方は、何らかの形で「登記」手続きの必要性がある方かと思いますので、そのご参考になればと思います。
登記とは、簡単に言えば、登記所に備え付けてある帳簿に名義や各種登記の記載事項などを記載してもらうことです。
登記をすることにより、誰の名義の不動産なのか?この会社の社長は誰なのか?相手方は取引の相手として適切なのかなどの情報が当事者以外の第三者にも明確になります。
つまり、登記をすることで、ビジネスや各取引などを円滑に進められるようにしています。
そのような登記ですが、実はいろいろな種類があります。
例を挙げますと・・・
・不動産登記
・商業登記
・成年後見人の登記
・工場財団登記
・夫婦財産契約登記
・立木の登記
・債権譲渡登記
・船舶登記・・などなど
不動産から立木、船舶までいろいろな登記があります。
これらの登記ですは、登記所で取り扱っています。
登記は国が管理をしており、法務省が担当しています。
法務省は広範囲に及ぶ国の法律に関する事項を扱っているので、その中で担当部局がいろいろ分かれており、登記は民事局が扱っています。
さらに、その民事局の中で登記の実動機関として法務局・地方法務局があります。
法務局は全国に8つ、地方法務局は42あります。
全国に8つある法務局は、各地方法務局を束ねているイメージです。
法務局、地方法務局も登記だけではなく、人権や供託、戸籍の業務などを行っていますが、登記業務を行っている法務局・地方法務局のことを登記所と呼んでいます。
なお、法務局・地方法務局のほかに地方法務局の支局・出張所もあります。
と、いろいろと書きましたが、法務局・地方法務局=登記所であり、登記は登記所(法務局)が取り扱っているとご理解いただければ全く問題はありません。
登記は登記所(法務局)が担当していることはご理解いただけたかと思います。
そして、登記を担当している法務局は上記のとおり全国8つ、地方法務局も42あります。
ある登記をしたいときに、全国のどの登記所に申請すればいいのか?どの登記所にも申請してもよいのか?というのが管轄(担当エリア)の問題になります。
結論から言うと、各登記所には管轄が決まっています。
つまり、登記の受付ができる担当エリアが決まっています。
組織としては法務局・地方法務局・支局・出張所と区別があり、法務局は地方法務局・支局・出張所を監督している位置にありますが、登記を申請する管轄という面からすると、その区別は特に意味を持ちません。
例えば、東京の九段に東京法務局があり、江戸川区には東京法務局江戸川出張所があります。
名前からすると、九段の東京法務局は東京のすべての登記を管轄しているが、利用者の便宜のために江戸川区にも出張所を置いているという感じもします。
しかし、そうではなく東京法務局も江戸川出張所もそれぞれ独自の管轄を持っています。
つまり、江戸川出張所の管轄の登記を東京法務局に申請しても、管轄違いで受け付けてもらえません。
同じように、千葉県千葉市には千葉地方法務局があり、船橋市には千葉地方法務局船橋支局があります。
千葉地方法務局と千葉地方法務局船橋支局には独自の管轄があります。
管轄は、登記の種類ごとにも異なりますが、不動産登記の場合は次の通りです。
千葉地方法務局 → 千葉市・習志野市
船橋支局 → 船橋市・八千代市
したがって、習志野市の不動産の登記を申請する場合、千葉地方法務局に申請しなければなりません。一方、八千代市の物件であれば、船橋支局です。交通の便がいいからといって、千葉地方法務局に申請しても受け付けてもらえません。
なじみの少ない登記ではありますが、その中で比較的知名度の高い登記が不動産登記かと思います。
不動産登記をすることにより、登記所に備え付けの帳簿=登記簿に所有者の住所や名義などが記載されます。
この不動産登記をすることで、法的に晴れてこの不動産は私のものですと当事者以外の方にも言うことができます。
反対に言えば、不動産の場合、玄関の表札に名前を書いてあったとしても私の不動産ですとは言えないということです。
不動産登記では下記の事例がよく使われます。
現在の甲土地の所有者(登記名義):A
×5年4月1日、AはBさんに甲土地を売りました。
Bさんは甲土地をBさん名義に変更する不動産登記をしませんでした。
×6年5月1日、Aさんはまだ甲土地がAさん名義だったので、甲土地をCさん売りました。
Cさんは甲土地をCさん名義に変更する不動産登記をし、甲土地はCさんの名義になりました。
先に買ったBさんはCさんに対して甲土地の所有権を主張できるでしょうか?
答えは、BさんはCさんに所有権を主張できません。
これからもわかるように不動産登記※は早い者勝ちの世界です。
※ここでいう不動産登記とは、権利に関する登記についてです。権利の登記と表示の登記については、こちら(登記事項証明書の見本)の解説をご参照ください。
なお、このような事例は「二重譲渡」の問題、「対抗問題(対抗関係)」などと言われます。
もう少し不動産登記についてお知りになりたい方は、こちら
弊所への不動産登記についてご依頼は、ご依頼内容により ・売買・贈与による所有権移転登記は、こちら ・住宅ローンの完済等により抵当権抹消登記は、こちら ・結婚・引越しなどによる氏名・住所変更登記は、こちら
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このような早い者勝ちの不動産登記ですが、その内容は登記事項証明書を見ることにより確認することができます。
登記事項証明書の具体的な内容は、登記事項証明書の見本をご参照ください。
登記事項証明書は、登記所で取得することができます。
また、登記簿は基本的にコンピュータ化されており、全国の登記所はオンラインでつながっています。
そのため、登記事項証明書はどの登記所でも取得することができます(交換システムといいます)。
先ほど管轄のお話をしましたが、登記事項証明書の取得に関しては、管轄の問題はあまり気にしなくてもよくなりました。
※以前(平成12~13年ころまで)は、登記簿も紙で作成されていたためその管轄に行かなければ取得することができませんでした。なお、古くなった登記簿も閉鎖登記簿として証明書等を取得することができますが、コンピュータ化以前の閉鎖登記簿はその管轄に行かないと取得することはできません。
登記所で取得する登記事項証明書のほかに、自宅のパソコンで登記内容を確認することができる登記情報提供サービスがあります。
登記情報提供サービスは、一般社団法人民事法務協会が提供しているサービスですが、そこで取得して確認できる登記内容は、登記所で取得する登記事項証明書の内容と同一のものです。
費用も、登記所の窓口で登記事項証明書を取得すると1通600円ですが、登記情報提供サービスでは1通335円です。
所有権者の名義など内容を確認するだけであれば、登記情報提供サービスが便利であり、十分であるといえます。
ただし、登記情報提供サービスは証明の文言がなく、証明書としての利用はできない場合がほとんどです。公的な書類・証明書として提出(役所や銀行、学校などへの提出)する場合は、登記所で取得する登記事項証明書の利用が一般的です。
登記事項証明書 | 登記情報提供サービス | |
取得方法 |
下記の各方法により請求し取得 登記所の窓口(全国どの登記所でも可) 郵送 インターネット |
インターネットで閲覧 (印刷もできます。) |
取得可能の 時間 |
登記所の開庁時間 平日8時30分~17時15分 |
平日8時30分~21時 |
費用 |
窓口での請求の場合 1通600円 |
1通334円 |
記載内容 |
同じ |
|
証明書 | 証明書として利用可 |
証明の文言がない (証明書として使えない) |
会社の登記は商業登記で扱います。
街には○○株式会社や△△有限会社などといった会社がたくさんあります。
□□合同会社といった新しい形態の会社もあります。
また、一般社団法人○○協会とか一般財団法人□□財団といった名称もありますがこれらの組織も商業(法人)登記で登記されています。
会社や法人は登記をすることによりその存在自体が認められることになっています。
そのため、上記のような株式会社や一般社団法人などには必ず登記があります。
なので、名刺や看板に○○株式会社とか、一般社団法人○○協会とあるにも関わらず登記が存在しない場合は、その実態はかなり怪しいものと言わざるを得ません。
このように、商業(法人)登記は、その会社や法人と取引や業務を安全かつ円滑に行えるようにすることが大きな目的になっています。
登記の内容については、上記の不動産登記と同様に登記所で取得する登記事項証明書、または登記情報提供サービスで確認することができます。
取得方法や費用についても不動産登記と同様です。